【良書の紹介】R7年9月『運命を拓く』
『運命を拓く』 著 中村 天風
この原稿の依頼を受けて、書店を彷徨い、最近のビジネス書や話題書を手にしましたが、残念なことに、どれも心に響くものが有りませんでした。
自宅にあった「運命を拓く」を読み返して、不安定な世界情勢の今にふさわしく、改めて中村氏の言葉の深みを分かち合おうと思い、この本を推薦させていただきます。
俗っぽい解説が許されるなら、著者である中村氏が終戦後に肺結核を患い、死の恐怖から解放される為に世界中の宗教者に出会いますが、満足した答えは得られず、やっと辿り着いたのがヒマラヤのヨガの修行僧。そこで、ヨガと修行を真剣に行い、「自分と宇宙のつながり」を考えました。「宇宙」とか言われると、胡散臭い新興宗教かと本を閉じたくなりますが、ここからが本番。日本の名だたる財政界の重鎮達の心を揺さぶり、今なお語り継がれる「人生成功の哲学」が待っています。
腕に自信のある船乗りは、静かな海より、
荒波を乗り切る航海の方が張り合いがあるという。
‐たとえ人生に苦難や苦痛はあろうとも、
それを心の力で喜びと感謝に振り替えていくのである。(本文より)
余りにも有名な一節を切り抜かせていただきましたが、人生を好転させるヒントが垣間見える箇所であり、中村氏そのものを示していると思わざるを得ません。
中村氏の話は、難解な言い回しが含まれているため、解説本のようなものも数多く出版されていますが、先ずは、ご自身で中村氏の著書を深く読み解き、瞑想に耽るという贅沢な時間を過ごされてはいかがでしょうか?
山根 法子