【頑張ろう関西】R7年6月 ランチェスター戦略からの学び:「一点集中」と「差別化」で勝利を掴む
先日、「ランチェスター戦略」に関するセミナーに参加しました。当該セミナーで、「ランチェスター戦略」は、「限られた経営資源しか持たない中小企業にとって、大企業と伍して戦っていくための羅針盤」と言えるものであることを再認識しました。
①ランチェスター戦略の核心:強者と弱者の法則
ランチェスター戦略は、元々第一次世界大戦の航空戦研究から生まれた理論で、「強者の法則」と「弱者の法則」の二つに大別されます。
- 強者の法則(第2法則): 経営資源の規模に比例して影響力が拡大するというものです。潤沢な資金を持つ大企業は、この法則に基づき広範な市場でのシェア拡大を目指します。
- 弱者の法則(第1法則): 経営資源が限られる場合、標的に「一点集中」することで効率的に優位性を確立できるというものです。中小企業が採るべき戦略は、まさにこの弱者の法則にあります。
通常、中小企業は大企業と同じ土俵で戦っても、経営資源の差から勝ち目はありません。だからこそ、弱者の法則に基づき、自社の強みを最大限に活かせる市場や顧客層に経営資源を集中投下し、「圧倒的な一番」を目指すことが重要になるのです。
②中小企業がランチェスター戦略をどう活かすか
中小企業のランチェスター戦略実践例としては、以下のようなものがあります。
- エリア・地域戦略:徹底した地域密着型サービス
地域に根差した中小の工務店やリフォーム会社の場合、「地域密着」を徹底し、例えば、特定の市区町村に限定して緊急の修理対応やアフターサービスを迅速に行う、地元の祭りやイベントに積極的に参加することで、顔の見える関係性を築く、などを実施します。そのような活動を行うことで、「〇〇(地域名)で家を建てるなら、あそこの工務店が一番」というブランドを確立し、大手が入り込めない独自の地位を築くという戦い方です。
- 顧客層戦略:ペルソナを明確にした「限定」顧客へのアプローチ
例えば、ヘアサロンの場合、ターゲット顧客を絞り込むことで、マーケティング費用を抑えつつ顧客満足度を高めるという戦い方が考えられます。「30代女性のビジネスパーソン専門のショートヘアサロン」のようにターゲットを絞り、絞った顧客層のライフスタイルや悩みに特化したカウンセリング、技術、空間を提供することで、口コミで顧客が顧客を呼び、強力なブランド力を築くという考え方です。
健康食品販売であれば、「健康に気を遣う人全般」ではなく、「血糖値が気になる40代男性向け」など、具体的な課題を持つ顧客に特化してアプローチすることが考えられます。
③経営に活かすためのポイント
ランチェスター戦略を経営に活かすためには、以下の点を意識することが重要です。
- 自社の強みと弱みを徹底的に分析する: 客観的な分析が第一歩です。
- 市場の「一番」を探す: 自社が「一番」になれるニッチな市場や領域を見極めます。
- 一点集中と経営資源の配分: 絞り込んだターゲットに対し、ヒト・モノ・カネ・情報を集中投下します。
- 差別化戦略の徹底: 他社にはない独自の価値を磨き、顧客に「選ばれる理由」を明確にします。
- 顧客との関係性構築: 顧客一人ひとりとの密なコミュニケーションを大切にし、ファンを増やします。
ランチェスター戦略は、中小企業が生き残り、成長していくための「経営哲学」とも言えます。限りある経営資源を最大限に活かし、貴社だけの「一番」を見つけ、輝かしい未来を切り拓いていきましょう。
岡森 久倫